選ばれる居抜き
まず、物件や、最適なローンに関してなど、さまざまなことを検討する必要がある。
私たちプロでも、2日や3日で判断はできない。
「気持ちをクールダウンさせる」という、狙いもある。
大きな買い物は、目先の感情で決断するものではない。
1週問たっても気持ちが変わらなければ、落ち着いて、その不動産を購人すればよい。
もしその期間中に売れてしまったのなら、文字どおり「縁がなかった」ということなのだ。
「売るべきではない人」が売っている不動産を扱う人はみんなプロフェッショナルにちがいない、と思っている方は多いのではないだろうか。残念ながら、大きな問違いだ。
実際には、不動産のことなどほとんど知らずに、小手先の営業トークだけでマイホームを売っている人が、たくさんいる。
「宅地建物取引主任者」という資格がある。
不動産取引にツイテ、一定の知識.見識があると認められる資格だ。
実際は、この資格を持っているだけでは、本当のプロだとは決して言えない。
この、宅地建物取引主任者の資格すら持たず、たいして勉強もせず、自分の成績のことばかり考えて不動産を売っている人がたくさんいるのが現状である。
日本で「不動産業」というと、なにか怪しいような、うさんくさいイメージが払拭できないのも事実。
それにひきかえ、欧米で不動産に携わる者のステイタスは、なんと高いことか。
アメリカでは「医者.弁護士.不動産屋。
その3つの友人を持てば人生、成功する」といわれているほどなのだ。
不動産業者として信頼を勝ち取るために、弁護士資格を取得する人だっているのである。
日本では、だれでも、いますぐに、不動産を売ることができる。
この状況が、不動産業界の不信を招いているのだ。
「人がいいから」「よくやってくれているから」それで担当者を評価するのは、とてもキケンだ。
人生に何度もない、大きな買い物をまかせるパートナーは、絶対的なスキルや倫理観を兼ね備えた、本当の意味でのプロフェッショナルでなければならない。
それなのに、そういった人は本当に少ないのが、現状である。
本当に不動産のことをよく知り、不断の勉強と、倫理観、使命感ある仕事をしている人は、残念ながら数えるほどしかいないだろう。
非常によくない。
こんな状態で、世の中全体が幸福になるわけはない。
2月.3月の心配S事務所の所員一同が毎年、心配な季節がある。
「2月.3月」。
いま、マンションを買う人はほとんど、未完成の状態で契約をしている。
マンションの完成内覧会には「完成お披露目会」と、購入者の「自主検査」という、2つの意味合いがある。
デベロッパー各社の決算期は、ほかと同様、3月に集中しているため、マンションの引渡しも3月に集中する。
よって、内覧会は2月.3月に集中的に行なわれることになるのだが、このことがよくない状況を生み出している。
何としても3月末までに引き渡し、お金を受け取りたいデベロッパーの都合で、工事の雑さが目につく突貫工事。
それでも間に合わず、建物がまだまったく完成していないのに、ムリヤリ内覧会を決行し、未完成で引き渡そうとするケースもある。
引渡しの段階で共用部分ができていないなんて、まだいいほうだ。
システムキッチンがツイテいなかったり、作業中で入ることができない部屋があったりする。
「これのどこが内覧会なのだろうか」そんな状況に、かなりの確率で遭遇する。
未完成のまま内覧会をやるのなら、「工事見学会」と名称変更していただきたい。
何か気に入らないって、その「心がまえ」だ。
その状態で内覧会ができる根性が気に入らない。
業界関係者の一部は「余計なことを書いて」と思うだろう。
そんな方は、どうぞ、退場していただきたい。
購入者のための内覧会に、自分の都合ばかり優先させないでいただきたい。
工事が遅れているなら遅れていると、事前に言っていただきたい。
当たり前のことができない人や組織があるから、業界が信用されないのだ。
あるデベロッパーの社員たちに、この件で話を聞いたことがある。
1人ひとりは、こんなことはよくないと思っている。
「組織の論理」だかなんだかわからないが、いつのまにか、どこからか、会社の都合を優先させてしまう。
「私には責任はない」といいたげであった。
デベロッパーの社員1人ひとりにも、さまざまな事情があるのだろう。
生活のためとか、住宅ローンがあるとか。
だから、いいたくてもいえないのだと。
でも、あなたの会社のマンションを買った人は、どうなるのだろうか?物件そのものも問題だが、買った人に残す悲しい気持ちや、憤りは、どうなるのだろうか?誰かがやめないと、誰かが声をあげないと、ダメだ。
会社のせいにしたり、上司のせいにしたり、協力業者のせいにしたり。
そんなことをすればするほど、不幸の数は増えていく。
レベルの低い話だ。
普通にやればいいのだ、普通に。
不動産.建設業界は、もっともっと、やるべきことがたくさんあるはずだ。
こんなこと、私なんかにいわれなくたって、個人レベルではみんなが気づいていることだろう。
不動産業界人にまず求められるもの、絶対的な能力(スキル)。
不動産という、誰にとっても重大なものを扱う人は、高い専門能力が要求されて当然なのだ。
知識や見識も、相当高くあるべきだろう。
不断の勉強を怠らず、常に変化し続ける世の中を見すえながら、最適なアドバイスをする必要がある。
だからこそ、相当な勉強家でなければ、本来務まる仕事ではない。
もっとも大切なのは、より根源的.本質的な部分。
いまの不動産業界や業界人には、決定的に欠けていることがある。
業界人としての「倫理観」や「使命感」、「誇り」。
ここがしっかりしていないと、世の中の役に立ち、消費者に喜ばれ、社会がよくなり、自分も幸せになれるなどという、本来の仕事としての仕事は、絶対にできないのだ。
全体がよくなるバランス感覚は、ただ売るだけが目的とか、お金のために仕事をしている人には、持つことは不可能だろう。
不動産を扱う者として、どうすれば世の中をよくすることができるのか。
真剣に考えたことのある業界人は、いったいどれくらいいるだろう?自分の仕事のゆくえを、突き詰めて考えている人はいったい、どれくらいいるのだろう?私には、それほど多いとは思えない。
なぜ、それでそんな重要な仕事に関われるのか。
きっと、自分の仕事に誇りを持っていないから。
プライドがないから、そんなことを考えなくとも仕事ができてしまうのだろう。
自分の仕事が及ぶ範囲を、目の前で起こることだけに限定してしまうのは、不勉強だからこそ。
よりよい仕事をしようと思えば、さまざまなことに気づけるはず。
本当の意味でベストを尽くそうと、自然に、そう思えるはずなのだ。
適当な仕事.いい加減な仕事.雑な仕事.ごまかしやまやかしが、あまりにも多すぎる。
こんな仕事は、私は気持ちが悪くて、近づきたくはない。
みなさんも、もちろんそうだろう。
こんな仕事は、典型的な「不幸の連鎖」システムだ。
関わる人が誰も、もちろん世の中も、幸福にすることなどできはしないだろう。
J宅金融公庫の焦げ付きがひどいから、またまた税金を投入するそうだ。
バカらしい。
こうやって書くことすら、バカバカしい気がする。
マイホームを買っていない人のお金で、人の住宅ローンを返済するのだ。
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